今度は逃げなかった。
先生に言いたいことがあったから。
「そこに座りなさい。」
先生の隣に座った。
それだけなのにドキドキする・・・
「このテストはどういうことですか?」
「ぜんぜんわからなくて・・・」
「そうじゃなくて、この落書きです。」
「………」
消すの忘れてたー!!!
「こ、これは・・・」
「そんなに見せつけたいのか?」
「ほんとにごめんなさい。」
プリントのいろんなところに
『りょうたのことがすき。』
そう書いたままだった。
「俺の気持ちも知らずに・・・」
「えっ?」
「何でもない。今日は帰りなさい。」
このまま帰ったら絶対に後悔する。
「ほんとにごめんなさい!」
「・・・もういいよ。」
「前に先生のこと大嫌いって言ったけど、
あれはウソです!」
「………」
「やっぱり先生のこと、」
「愛莉ー!今日は部活ないから一緒に帰ろう!」
「う、うん。」
「先生、もう帰ってもいいですか?」
「・・・気をつけて帰りなさい。」
あたしは何を言おうとしてたんだろう。
好きっていう、たった2文字を
なかなか伝えることができない。
良太が来てくれてよかった。
