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私と翔ちゃんは生まれた時からずっと隣同士だった


元々家が隣同士で親が仲が良かったのもあるけど


兄弟がいなかった私と離れた兄を持つ翔ちゃん


幼い頃の私達は自然と仲良くなったんだ


そして、私はその時から翔ちゃんが好きだった。


小さい頃から翔ちゃんは今の翔ちゃんの面影があって、周りの子も一線置いていたくらい大人びていたけれど


今より無邪気に笑ってたし笑顔も多かった


私は…そんなところに惹かれたんだと思う


翔ちゃんは本当に大切な存在


小学生の時、イジメから守ってくれたのも


一緒に撮った写真が多いのも


私の事良く知っててくれるのも


一番に私の変化に気づいてくれるのも


全部


翔ちゃんだった


それなのに…関係が壊れたのは小6の頃だった


あんなに仲が良かったおばさんとおじさん…翔ちゃんの両親が私達が10歳の時離婚して


1年位経った時から隣の家には知らない女の人が出入りするようになった


初めは翔ちゃんの彼女かなってビクビクしてたけどどうやら違うらしく一安心。


でも…おじさんはその女の人と再婚した


翔ちゃんはといえば同じ小学校に通ってた私達だけどしばらく顔を見ない日が続いて、


やっぱりショックだったのかなって思ってたけど翔ちゃんは強かった。


休みが明けると相変わらずクールだけど普通に笑顔を見せていたし、平気そうで


なんの心配もしてなかった


…だけど


ちゃんと翔ちゃんを見てなかったのは私だった


その日の学校帰りいつも通り2人で歩いていた


「翔ちゃん、あのお姉さん…誰?」


「父さんの再婚相手」


翔ちゃんは表情を変えなかった


それで、私もどうしていいかわからなくて


聞いちゃダメだったかな、とか。それでも私は翔ちゃんの事が知りたくて空回りした


「そ、そうなんだ!綺麗な人だね〜


これで翔ちゃん寂しくないね!」


「……………」


「いつから付き合ってたのかな?翔ちゃん何か聞いてた?」


「………何も。」


「へ、へぇー。おじさん照れてたのかな?


あ、そうだそしたら翔ちゃん弟か妹できるかもね?


お兄さんも何処にいるかわからないし落ち着いてくれたら私…「あのさ。」


歩みが止まった


少し先を歩いていた翔ちゃんが振り返る


夕日が翔ちゃんに被って表情は見えない


だけど、とても綺麗な夕日だったことは覚えてる


「お前何なの」


「え…?」


それはとても冷たく鋭い声だった


「お前に何がわかる」


「ごめ、そんなつもりは…」


「…………………」


それ以上何も言わない翔ちゃん


しばらく沈黙のまま見つめあってた私達だったけど


翔ちゃんは本当に何も口にせず踵を返して歩いて行ってしまった


その場に取り残された私。



「……………」