ガチャ…


モニター室を開けると一気に吹き抜ける冷風


超涼しい。


ここは天国か


…なんて思ったのは一瞬で


「おい!千歳!!防犯カメラどーなってる!」


「わかんねぇーよ!不具合か!?」


「泉!次の作戦はできてるか!?」


「作戦2突破されました!!」



…あれ、まさかここ戦場?


色々な怒鳴り声が飛び交う中


皆が見た事もない形相でモニターを見てる





「くそっ…ゾンビ隊用意しろ!!」


「スポンジ!早く濡らせ!」


透真さーん…私どうしたら…


どこにいてもきっと邪魔もの扱いされるからとりあえず隅っこで待機。


忙しく行き交う人達を目で追っている


そんな時


「あー、紅愛いたぁ!こっちおいでー」


「か、楓っ」


第2の天使登場…!?


相変わらず可愛い笑顔で手招きしてくれて


私も笑顔で駆け寄った


「ほらこっちこっちー」


「ありがとっ楓」


クルクル回る椅子に腰掛けて一緒にモニターを見た


「にしても翔聖落ち着いてるね」


「んー、だねぇ


階段からボール落とした時は驚いてたと思うけどねー?」


思い出したのかクルクル椅子を回しながらニコニコする楓


…でも翔聖無表情すぎ。


丁度今ゾンビ(メンバー)が翔聖の周りを囲んでるけど


驚いてる様にも怖がってるようにも見えない


いつもと変わらないカッコイイポーカーフェイス。


うーーん、ゾンビメイクすごいな


私だったら気絶しそう。


それを真顔でスルーする翔聖もすごいけど


あ、別にダジャレじゃないからね!?


そんなこんなしてる間に


「くそっ、作戦3突破された!」


「翔強すぎんだろ…」


どうやらゾンビは突破されたらしい


「よし、濡れたスポンジいけ!!」


「「了解!!」」


え、何濡れたスポンジって。


びちゃびちゃのスポンジ下に敷き詰めんの?


えげつなっ


これは翔聖が可哀想になってくるかも。


でもちょっとだけどうやって切り抜けるのか気になる…。


チラッと画面に目を向ければ


翔聖は今まさに、足元のスポンジを見下ろしている所だった


「翔困ってるぞ!カメラ角度変えろ!顔見えねぇ!」


うん、なんかみんな趣味変わった?


困ってるとこ見て喜ぶとかドS!?


それか翔聖のファンか何かか!?


つくづくわからない、今の年頃の少年は。


…わ、私も実は顔が見たいなんて


い、言わないけどね?


するとサーッとカメラの角度が変わって


翔聖の横顔が映った


「「あー…真顔」」


恐ろしいほど真顔。どうしたものか。


そして、翔聖はどうやってこの危機を乗り越えるんだろ…気になる




しばらく、と言っても30秒程経つと翔聖はおもむろに後ろに下がり始めた


お…これは何かするな?


全員が息を呑んで画面に食いつく中


スポンジからはだいたい3メートル離れていた



そして、じっとスポンジを見つめている



…まさか



「「「えぇーーー!?」」」



画面に一瞬翔聖が映って、消え…





ヒュッ!




翔聖が飛んだ…



まってまってこれ結構長く敷き詰められてるよね…?


翔聖さん、あなた一体何メーター飛んでんのさ…?


本当に人間なのかな、疑いたい。


ふと静かになった部屋。


横を見ると想像以上のリアクション


幹部の皆さんせっかくの綺麗なお顔がポカーンですよ


しかも楓!口!


口あいてる!