ー翔聖sideー


「じゃあ、解散


今日は昼の活動で悪いな」


聖蘭第4隊長の締めの声でバラバラと人が席を立つ


それは俺も例外じゃない。


ゆっくり立ち上がって帰路につく


…隊長の言葉を思い出しながら


『今日は先日の事件についてだ。


先日起こった事件は皆も知ってるだろう


我ら聖蘭の長年の敵、夜影が潰れた


それは喜ばしい事だ。…だが


どうやらその裏にはとある人物が関わっていたようだ


そして、その行いは決して喜ばれる事ではないものだった』


その人物とは松井比呂…ヒロさんだ


俺らのチームのリーダーだった人


あの日、いきなり俺と透真は休暇を押し付けられた。


夜影との大事な争いである事は間違いなかったし俺達の班が担当する事になってた


それなのになぜ外されたのか俺達は全くわからなかった。


それでも上からの命令に背くわけにもいかず輝と蒼桜に合流


聖蘭ではなく族の人間としてあの現場に向かった



ーそして、紅愛と冬詩さんによって長きに渡ったこの争いは終結し、今に至る


この事件には謎が多過ぎる。


何もかも終わってしまった今になってはその謎を全て解き明かすのは困難だが。


でもいつまでも過去に縋ってはいられない


例え謎が残っていても俺は進まなければいけない


深く考えるのはやめてとっとと帰ろう。


俺は無理矢理思考を変えバイクに跨った













そしてしばらくバイクを走らせ、


俺は今輝の倉庫の前にいる


…しかし、何故か倉庫は真っ暗だ


まだ夕時。こんな時間に電気がついていないのはおかしい


誕生日パーティーでもしてんのかと思ったが


しばらく誕生日の予定が無いと喚く幹部達を思い出してそれは違うと確信した


だったら何なんだ?





…ここで考えても仕方無い



俺は嫌な予感を拭う事もせず倉庫に足を踏み入れた


ガチャ…


倉庫の扉を開けると中は真っ暗で電気すらついていない


けど、いくつか分かれている廊下の内の1つに灯りがともっていて俺は導かれるようにその廊下に向かった



が、暗闇の中



ひゅっ



と何かが向かってくる気配がして反射…ほとんど無意識にその気配をよけていた


風が小さく頬に当たって眉をしかめた



これは…





こんにゃく、か?



紐で吊るしてあるのかまた折り返してきた物体を掴んで思う


いや、これは絶対にこんにゃくだ


しかしなんでこんな物が…?


頭を捻るけど全く分からない。



そして、俺が出した結論はメンバーが片付け忘れた。ということ


そんな事よりもさっきから全く人に会わない事が何より不思議で不安を掻き立てる


もし何かに巻き込まれたとしても


蒼桜も輝のメンバー、幹部もいた筈なのに全員が居なくなるなんてありえない



頭の中がハテナだらけだったがとりあえず奥に進む事にした



しばらくすると灯りは廊下の途中にある階段の上へ続いていた


登ってみると


ドン!と、音がして



バタバタ!!!


「………!?」


階段の上から勢い良く降りて来たのは


カラーボール


階段にぶつかりながら大量に降ってきていて


咄嗟に顔を腕で覆った





「…………」



あいつら…。


犯人は幹部達だった


さっきチラッと見えた手の影に小さくKの文字らしきものが見えたからだ


それは、楓の指輪。


楓のお気に入りのものでよくつけているやつだ


そして、トン、トトン という足音。


楓は上機嫌の時スキップをする癖がある


…つまり、そういうことだ


犯人はあいつらか。


とりあえず何もなくてよかった


…まぁ許さねぇけどアイツら


俺は安堵と苛立ちで口角を上げ階段を登った