打倒ポーカーフェイス☆ 輝×蒼桜


ーそれは、ある日の事だった。


蒼桜倉庫にて輝幹部と団らん中の事だった。


「ねえねえ、翔ってさ紅愛大好きだよねー」


「「「ブハッ!!」」」


…!?


楓っ!?いきなり何言い出すの!?


吹き出したのは私と…何故か千歳と蓮。


「だってぇー!翔は僕たちといる時かなり真顔だよ?怖いじゃん!


なのに紅愛といる時は頬ゆるゆるだし!!!


僕にもそんな顔して欲しいもん!


この前なんかピンクの雑誌でぼんきゅーぼんの姉ちゃんのあーんな写真やこーんな写真を見せても無反応でさ!


僕もしかしたら翔ってあっち系…「むごぉっ!」


「わかった、よーくわかったからもう黙れ。」


うん、止めてくれてありがとう千歳。


ここに翔聖いなくて良かったね。


そうそう、翔聖は聖蘭の仕事でここにはいない


私もカンザキだった事をいかして聖蘭に入ろうかな?って言ったんだけど


ほんとに鬼みたいな睨みをお見舞いされて撃沈。


でも、


「心配し過ぎて仕事そっちのけにするだろ」


って言われたんだー。ふふ。


そんなことを考えていると


「…いたっ!」


べチッ!!!と凄まじい音をたてた私の額


「「「ナイスデコピン!」」」


はぁー!?何がナイスデコピンだボケぃ


こっちは真面目に痛いっつーの!


うう、痛過ぎて涙出てきたし…。


ヒリヒリする額を抑えながら横にいる犯人を睨む


「來愛痛い」


「…俺じゃないし」


は、い?なんだって?


あなたが違うってったら一体誰だっていうのよ?


プイッと顔を逸らす來愛を追いかけて私も負けじと顔を覗き込む


「そんな顔したって嫌なものは嫌」


「どーいうことよ?」


そんな顔ってどんな顔さ。それに來愛は何が嫌なの?


…うーん、全然わからない


ふっと、考えるのをやめて顔をあげると來愛は何やら深刻な顔をしていて


「來愛?」


「…ん。」


呼びかけには答えるんだけど何か考えてるみたい


だけど、いきなりチラッと私を見ると





「別にあの男と付き合ってもいいけど


俺だって紅愛好きだし。


俺の前では俺の事考えてよ」



「「………………」」


その瞬間、部屋の空気が止まった


「來愛が…」


「あの、氷の貴公子が…」


「「「デレた……………!!」」」


ぎゃー!!と叫びだし部屋中大騒ぎ。


当の本人はばつが悪そうに私をジッと見ている


その瞳は"あの頃"と似ていてふと、思い出した


…それは私が來愛を拾った時の話


あの時の來愛は見ている方が苦しくなる程荒れていて自分を傷つけてた


來愛は、自分には名前も居場所も無い


そう言った


でも、瞳は諦めてる訳じゃなくてただ悲しいと叫んでいたんだ


ただ…愛情が欲しい、と


だから、私はできるだけ來愛と一緒にいた。