<輝×蒼桜>


それは、その後の物語。





「くーちゃん、寒いー!」


「うん、そりゃ冬だもんね。」


「つ、冷たいっ


そこは、私があっためてあげる♡でしょっ!」


「絶ッ対やりません。てか泉うるさい」


「う、うぇぇぇん…くーちゃーん!


いいもん、こうなったら無理矢…「いでっ!!」


「泉、そろそろ殺されるぞ」


「聞こえなーーい!!くーちゃーん、ぎゅー♪」


お馬鹿な泉が駆け寄ってきて


私に飛びつこうとした瞬間


私の"右側"から腕が伸びたのが見えて…





「ぶほっっっ!!」


泉の頭にクリーンヒットした


「ほら、言わんこっちゃない」


と、呆れ顔のナギサ。


「痛い…だってぇ!翔ばっかりくーちゃん独り占めしてる!ずるいー!」


「コイツ体調悪いんだ、しかたねえだろ」


「むぅぅぅうー」


そう、季節はすっかり冬に変わり外は雪が降りそうなほど冷え込んでいる


あれから1ヶ月程経った。


あの光景を、私は今でも忘れていない


私の全てを受け入れて私と居てくれる道を選んでくれた事。


もちろん、私のしてきた罪だって忘れてない


だけど皆が居てくれるから罪の意識に囚われる事無く共存できている


ほんとに、感謝しかないよ。


そんなこんなで上手くやっている


…けど、只今、私


「ケホッ…ゴホッゴホッ…」


絶賛風邪をひいています


「おい、大丈夫か」


「ん…。」


泉にだって本当はかまってあげたいけど今は正直しんどい


まぁ、私が無理言って幹部室にいるからダメなんだけど


それも、翔聖の肩に頭を乗せて。


でもしょーがないじゃんっ


折角皆と居れるのに1ヶ月で風邪ひいてダウンなんて。


何より時間が惜しい


だからちょっと辛くても皆の顔が見れるとこにいたい


「はぁ…」


小さくため息をついた。


あー…ちょっとしんどいかも


頭がぼーっとしてだるい


思わず翔聖の腕を握った


まるで、その苦しさから逃れるかのように


「紅愛、もうダメだ。ちゃんとベッドで寝ろ」


「う、ん…ベッド…遠い…」


「ん。大丈夫だ、連れてってやる」


そう言って辛くないようにそっと抱き上げてくれる翔聖


お姫様抱っこじゃなくてちゃんとした抱っこ


恥ずかしいけどお姫様抱っこよりはこの痛む頭を乗せる所があっていい。


「ありがと…。」


「病人は黙って寝とけ」


それでも口の悪さは健在なのだ


そして、私が名残惜しくて後ろを振り返ると


「紅愛、お大事に」


「紅愛ちゃん、早く良くなってね」


「くーーちゃーーーん、泣」


「ん、皆ありがと…」


心配そうに声をかけてくれる皆


ナギサも透真も泉も、ありがと


私はぎこちなく笑って部屋を出た


後ろで


「泉、そんな寂しいなら蒼桜でも行ってきたら?」


そんな声に頬を緩めながら…。



そうそう、変わらないこともあるけど


もちろん、変わった事もある


まず、翔聖。


もうわかると思うけど、呼び方が翔から翔聖に変わった


理由は…また、今度


恥ずかしいし、今思い出しても照れるし?


あー、熱上がりそう。


まぁそれはおいといて、あと一つは輝と蒼桜の関係だ