【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~



「…奏矢、もう大丈夫。」


しばらく泣いた後、頭が冷えると急に恥ずかしくなってきて奏矢から離れた


奏矢は知ってか知らずか何も言わなかったけど


だけど、紅愛、と呼ばれて顔を上げるとなんだか深刻そうな顔をした奏矢がこっちを見ていた


「俺はお前が決めた事なら何も言わない


でも、本当にいいのか?


アイツらお前の事相当探すぞ


それにお前、翔が…「奏矢」


それ以上言わないで、そういう意味を込めて言葉を遮った


「事情が変わったの


傍にいられない事は変わらないけど


過去は永遠に背負っていくものだから。


私とあの人が交わる事は無いよ」


「…蒼桜は?」


蒼桜、か…


私が作った族


私の大切な場所


「ほんと、自分勝手な初代だったね


自分で作ったくせに全然倉庫にも来てなかったし」


今更気づく


私、自分で蒼桜を作って遥斗達を仲間にしたのに放ったらかしにしてた


「総長失格だよ」


「それでもまた前と同じ様にお前を待ち続けたら?」


「…奏矢、なんとかして」


「はぁー?お前無茶言うなよ」


「ふふ、嘘だよ。それはまた考える


1週間以内には退院出来ると思うしそれまで考えるよ


あ、そうだ、それまで私の病院変わった事にしておいて?」


そうだ、お見舞いに来たら…いや、来るかはわからないけど


念には念を。


「はいはい。


あと、お前のチーム…アレクト?の奴ら全員元気だぞ


気になってしょうがなかったんだろ?」


う…な、なんでバレてるの?


でも、良かった…。本当に


最後のルイの姿を見たら怖くて聞けなくて


でも、知りたくてモヤモヤしてたんだ


「そっか…良かった」


呟く私に奏矢はニッと笑うと


「じゃ、俺行くな。


他の報告書はタブレットに送るから」


そう言って、ポイッと投げられた四角い物を
キャッチすれば中身はタブレットだった


ほんとさすが。抜け目が無い


「ありがと。


…って、随分ソワソワしてるけどどこ行くの?」


「おう。


あー、ノエルのとこ。冬詩の事で不安定でな」


ふーーん、ニヤッ


そういうことー


「ふふっ、ふーん、いってらっしゃーい」


ニヤニヤしながら見送れば


「…何だよそのキモい顔は。


まー、じゃあ、また来るな」


「うん。ありがと、またね」


パタン、とスライド式のドアが閉まれば静寂に包まれる


ふぅ、と息を吐き出してまた頭を働かせる


蒼桜と輝を傷つけずに捨てる方法、ね…


もういっそ死んだ事にして欲しい


あ、いや、でもそんな事したら來愛が何をするかわからない


じゃあ…引退、?


…それも探されるに決まってる。


根本的な解決には全然なってない


んー、だめだ、全然思い付かないよ


それに私、なんでこんな悲しい事考えてんだろ


ガクッと項垂れたその時


ヴーヴー


奏矢からもらったタブレットが振動した


開いてみると一件のメールが入っていて、開いてみると差出人は奏矢からだった


内容は…今回の事件の処理の話だった