【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~



それは不思議な感覚だった


想像してた重力に引きずられるとはまだ違う感覚。


まるで深い海にゆっくり沈んでいくような…。


紅羽や來馬もこんな気持ちだったのかな、なんて


二人は仮にも殺されたんだから


きっと悲しい気持ちだったんだよね


自ら死を選んだからこんなに清々しいのかな


それとも…


いや、深く考えるのはやめよう


…もうすぐ、地上だ



目を伏せた、その時



「月希っ!!」


遥か上で聞こえた夜斗の声


ハッとして目を向けると


必死に右手をこっちに伸ばしていた


「夜斗…」


届くわけ、ないのにね


けど、それでも私は手を伸ばした


届かなくても掴むのは空気だけでも


私は、あなたと気持ちを通わせられた事が凄く嬉しかったから


…貴方の幸せをねがっています


瞳を閉じたら


ガスッ!!


凄まじい音がダイレクトに耳に入ってきて


感じた事のない酷い痛みを感じて


…私の意識は途絶えた







そういえば、夜斗は最後何を言いたかったのかな


そんな疑問を頭で抱えながら。



~紅羽、月希side end~








「その後、夜斗も後を追って亡くなった。


私達、幼馴染み4人の最後はそんなんだった」


「これは私も最近知ったの。


月の日が訪れる度に4人それぞれの目線の記憶を見ることができたから


それでも見れる量は本当に少なかった。


でも…紅愛さんや翔聖さんが刹影の力を弱めてくれたおかげで


あの最後の戦いの時に全てわかったんです


本当にありがとうございました


…私と月希目線でしたがわかりにくいところはありませんでしたか?」



いきなり話を振られてハッとする


「いいえ、大丈夫。」


なんとか答えたけど何かを話せる気持ちにはならなかった


言葉が、出てこない


紅羽は良かったです、と微笑んで続けた


「…4人が死んだあの場所は呪われてなんかいなかった


呪いを作ったのは…私達だったんです


いや、私のせいなんです…っ





私が夜斗の事も月希の事も考えずに自分の事ばかり考えていたから!!


私が悪いのっ!!!」


紅羽の綺麗な赤い瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちていた


苦痛に歪んだ顔がどれだけ後悔したのかを物語っていた


「紅羽…」


私は紅羽にそっと近づいて背中をさすると


紅羽は顔をあげて笑顔を作り


ごめなさいと言って涙を拭った


「そのあと…」


そしてまた言葉を紡ぐ


「私達4人はそれぞれの思いが強すぎて死にきれなかったんです


勿論体は死んでいましたけど。


それで魂がある宝石に移ったんです


でも私達の魂が入った宝石…石は


次第に私達の呪いにかかっていった」


「力を持った石は人間の手に渡り


清羚と刹影の悲惨な事件を起こし受け継がれていった


その時にはもう、私達は自分の呪いに飲み込まれていて制御ができなくて…


その呪いのせいでまた、私達は沢山の人を巻き込み、殺しました」