ー月希、紅羽sideー



ずっと昔とある小さな村がありました


そこは山や川、森。自然が沢山あってそれはとても美しい村でした


下の発展した街とは干渉せず自給自足の生活。


それでも学校はありましたし病院やお店も有り栄えていました


…しかし、村が他の街と関わりを断つのには理由があったのです


それは私達の"色"


この村は目や髪の色が皆、赤や青、緑…と


周りから見れば"異端"だったからでした


原因は…きっと遺伝子の突然変異。


もちろん、当時そんな事はわかるわけもなかったのですが…。


そして、私達はそんな一風変わった村に生まれたのでした


來馬、夜斗、月希、そして私


いつもこの4人でいました


家も近く、幼馴染みという関係。


いつまでも仲良くいられると思っていたのに…。


事態が動いたのは私達が高1になった頃でした







それは日が沈む少し前、小さな丘で來馬と私は立っていた


呼び出したのは…私


どうしても伝えたいことがあって


「來馬…あのね…」


私は緊張と恥じらいで顔が真っ赤になるのを感じて必死に言葉を紡いだ


「まって、俺から言わせて」


だけど、伝える前に來馬は私を止めた


え?と下に向けてた視線を來馬に移した


そして


「紅羽ずっと好きだった。付き合って欲しい」


來馬は私と同じ位顔を赤らませてそう言った


それは私の言いたかった事で。


びっくりして声が出なかったけど


「…っうん…私もずっと好きだった」


すっごくすっごく幸せだった


そして日が沈む寸前私と來馬は顔を合わせて微笑んでキスをした






しかし、その幸せの一方で



「ふざけんじゃねぇよ!」


夜斗が私達を許せなかった。なんて全然知らなくて




そして、その姿を見て胸が潰れる程の痛みに耐え


「きゃっ…夜斗やめて!」



「うるせぇよ!黙れ黙れ黙れ黙れ!」


夜斗を宥めようとしていた月希の事も。








私達は自分の事しかかんがえていなかったんだ



「殺してやる!」



だから、こんな悲惨な事件を引き起こしてしまったーーーー




それから暫く


「紅羽帰ろう?」


「あ、來馬!今行く!」


毎日登下校を一緒にして放課後はたまにデート


それが私は凄く幸せで


やっと掴んだ大好きな人との時間


片時も手放したくなかった



「あ…夜斗っ!待って!!」


「……………」


だから夜斗や月希が私達と関わらなくなったのは


私達に気を使ってる、なんて勝手に勘違いしていた


私は來馬が好きで、來馬は私を好きでいてくれる


月希は夜斗が好きで夜斗は…月希を好きになって


私と月希は親友で來馬と夜斗も親友


それで全て上手くいくんだって、私達の絆は永遠なんだって


そう思っていた


…人の気持ちは理屈じゃない、それを私は知らなかった