【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~




…いや、まだまだ終われない


私にはやり残したことは沢山あるから…っ!


目を開き走り出した


まずは電気をつけないと


ダンスホールの電気のスイッチ…


私の家と同じならきっと舞台裏にあるはず


視界の見えない中で


最後に見た光景を頼りに走り出した


あいにく、そこに聖蘭はいなくて


2個目の扉を開けば小さな灯りが溢れていた


ここだ


息を潜め気配を消した


扉を開いたら


ゆっくり、ゆっくり近づいて


「ぐぁっ…!」


思いっきり完備室に座っている


二つの頭に蹴りを食らわせた


意外にあっけなく片付いた


そして、急いで電気のスイッチを探す


「…これだ」


ホール電灯


そのスイッチを迷わず押すとバチッ!!と


電気が消えた音と同じ音がした


これできっとついたはず


ドアを急いで開けて階段を飛び降りた


そしてもう一度ホールに出ると


「……………っ」


そこに見えた光景に言葉を無くした


ホール中央。私達がいた所


シユウとクラウンが倒れていた


立ち上がっているのはアレクトだけ


それもみんな肩で息をして立っているのがやっと


そして…たくさんの傷からは血が滲んでいた


"袋の中のネズミ"とはまさに今のこと


皆の周りにはぐるりと聖蘭が武器を持って並んでいる


ここで皆達は袋叩きにされていた


これも全部、罠だったなんて。


気づかなかった自分に嫌気がさすよ


結局私は無力なまま


悔しくてぎゅっと拳を握った


「おやぁ、随分悔しそうだね


夜影№1人さらい、カンザキよぅ」


その時挑発的に言葉をかけてきたのは


聖蘭の指揮官、ヒロだった


30という若さで異例のスピードでトップに駆け上がった


巷では噂の男


「まーまーそんな睨むなよ!


こんだけうちもやられててねぇ


そろそろくたばって欲しいんだよねー」


こんな卑劣な事…だなんて思う資格はない


私達だって同じ事、いや、それ以上の事をしたから


でも仲間のこんな姿を見せられて


黙ってられない


私は初めて背中に背負っている鞘から


刀を取り出した


「おやおや。カンザキさん本気?」


それでも挑発を続けるヒロを睨みつける


「カンザキに本気出されたらこっちもなぁー


だからお前に客を紹介しよう」


そう言ってニヤリと笑う顔は


…確かに歪んでいた


「ほんじゃ、今回の作戦の提案者どうぞ」


ヒロが言うと閉まっていた扉がゆっくり開いた


そして、そこにいた人物を見て


私は目を見開いた





「な、んで…」


信じられない


一番貴方がここにいる確率が低いはずなのに


私は一体あなたに何度裏切られたら気が済むの









「…っ冬詩」


冬詩はmasterで夜影の最高責任者でしょう?


どうして


なぜ


聖蘭なんかに手をかしたの?


ねぇ、なんでよっ!


「ふんっ、無様だなカンザキ」


冷たく笑うあなたは誰なの?


本当の心はどこにあるの?


…全くわからない


「夜影もやる事がえぐいよなぁ〜


お前らを消したいからって敵に協力するなんてよ」


クツクツと下品な笑みを浮かべるヒロ


でも冬詩は私を消したいって…


戦力を失うのは夜影なのにどうして?


「意味が分からないって顔してんな


あのなぁお前が夜影を潰そうとしてることくらい


わかってんだよ


ついでにコイツも同罪」


そう言った冬詩が放り投げたのは


「ルイっ!」


傷だらけのルイ


近づこうと足を踏み出せば


「おっと?コイツがどうなってもいい?」


ガチャッとルイに向けられる銃口


…やる事がきたないよ


「やるなら正々堂々と勝負してよ!」