【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~



「カンザキぃ!!」


いや…今は感傷に使ってる暇はない


後ろを振り返れば鬼の形相で向かってくる聖蘭


必死においかけてくる輝と蒼桜のみんな


誰にも捕まるわけには行かない


私は全速力で駆け出した


人の多い大通りと繁華街を抜け裏路地に入る


「はぁ…っ…はぁ…っ…」


走るのがキツイ。


でもここはある程度土地勘がある


きっとここまで来れば逃げきれるはず。


そう思ってスピードを緩めた矢先


「くれ、あ…!」


目の前から走ってくるのは


呼吸が乱れふらふらと辛そうな



「楓…、」


なんでこんなしつこいの


もう走る元気も少ししかないのに


こうなったらしょうがない


私は少し下がって助走を付けると


近くにあった物を足場にして


民家の屋根に登った


上から見下ろす楓は膝に手をついて


呼吸を正しながら悔しそうに私を見上げている


名残惜しいなんて考えちゃダメ


こう追いかけられてるのもきっと


気を緩めるなっていうメッセージだと思うし


私は踵を返して走った













「ごめんね」


私が呟いた言葉は多分聞こえないけれど。












「はぁ…っ疲れた」


玄関の扉に背中を合わせ座り込む私


ほんとにキツかった…


こんな走るなんて想定してなっかったし!


まぁ私が無謀なことしたから


しょうがないんだけどね


もう、ほんとに疲れた


夜に備えてとっとと寝よう


そう思いシャワーに入りベッドに潜り込んだ


そういえば輝と蒼桜は何を探してたんだろ?


重要な事にも思えるけど


既に半分夢の中。瞼が重すぎる


いいや、また明日考えよ


そんなことを考えながら眠りについた


…明日なんて来ないのにね


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.

不思議な夢を見た。


最近は忘れかけてたあの感覚


…久々だ


紅葉と月希がでてくる夢


ゆいと呼ばれる人の日記の夢


忘れかけてた蒼桜と紅雅の夢


色々な夢を見た気がするけど


この感覚はきっと紅葉たちの夢


「紅愛さん」


え…?


そう思ったのにそこにいたのは


…ローズ?


赤い体に青い瞳の龍


ローズに会うのは石を継承した時以来だった


「お久しぶりです」


そして優しげに目を細めるその姿はどこか弱々しくて


でもあの頃に比べて感情がある気がした


「なんでこんな所に…?」


私が尋ねると


ローズは視線を一度地面に落として


また目を合わせた



「10年間、石を守ってくださりありがとうございます


貴方の事はずっと側で見守ってました


沢山の試練がありながらも石に頼ることなく


ここまで来てくださいました


本当に感謝します」


「そんな…私は何もしてないよ」


本当に、私は何もしてない


輝や蒼桜、奏矢にノエルさん


沢山の人に支えられて今があるんだよ


「いいえ。あなたは多くの人に支えられたように


あなたも多くの人を支えたのです


しかし、それももうすぐ終わります


この戦いに終わりが訪れるのです」