【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~




前に紅愛から聞いた時もそうだった


何かを考え込んでる表情


それは


過去をどこまで言うか


だったんじゃないか?


今はあくまで憶測だけど…


僕達が出会った時…紅愛に救われた時


紅愛の目はとても綺麗だと思ったのを覚えてる


でもそれは


儚く冷たい美貌


決して生き生きとしたものじゃない


壊れてしまいそうな瞳が懸命に葛藤していたから


だから美しいと思ったんだ


…そんなこと今更気づいても遅い


僕達が出会った時から紅愛は


崖っぷちに立たされていたんだーー


こんな事今考えてもしょうがない、でも


やっぱ悔しいもんは悔しい


気づけなかった自分に腹が立った


思わず拳を握り締めた


その時





「お前ら…蒼桜の幹部の全員は


この話知ってたんじゃないのか?」



核心を突く、その言葉が聞こえた




「は?」


意味がわからない、というようにこっちを見る蓮


そして蒼桜の誰もが輝の目を見ることができないでいる


こんなの肯定してるもの同然


「どういう、ことだよ」


もう訳が分らない


「なぁ」


何が正しくて


「おい」


何が間違っていたのか


「黙ってんじゃねぇよ!!」


そんな声と共にグッと苦しくなる首元


視界がグラりと動いて



止まった


見えたのは蓮の怒りに震えた顔だった


もう、だめなのかな


紅愛を探す事も蒼桜でいられることも


「うん。……そうだよ」


「てめぇら…………っ!」


ガンッ!!!


「蓮、やめろ!」



気づいたら僕は壁にぶつかって


倒れていた


左頬に鋭い痛みが残っていて


口の中が鉄の味がして気持ち悪い。


「くそっ!」


椅子を蹴り苛立ちを露にする蓮


「悪ぃけど今回の事は庇えない」


目を細めどこか冷たい目をするナギサ


「アンタたち最低だよ…」


悔しそうに唇を噛む泉


「……………」


蓮を牽制したものの今は俯いている透真


何も言わず表情の読み取れない顔でこっちを見ている翔




未だごちゃごちゃの頭



だけど一つ言える事、それは






…僕達は選択を間違えたんだ


ごめんね、紅愛


僕達は君を見つけることができないかもしれないよ


№1の幹部のくせに女の子一人ですら見つけられないなんて


紅愛に合わす顔がないよ…



僕はやるせない気持ちを押し込めて



ぎゅっと目を固くつぶった















「お前らは紅愛を見つけたいと思ってんのか」


だけどその時、聞こえた声にゆっくり目を開いた


抑揚のない心地良い低音の声


それは数回しか聞いたことのない翔の声だった


普段はなさない彼がなんでそんな当たり前の事を聞く?


紅愛を見つけたいか、そんなの


「当たり前だろ」


当たり前。


だけど僕が言うより先に答えたのは來愛


その言葉に蓮が微かに目を細めた



「だったらなんで


紅愛の事を黙ってた」


それは





「…紅愛の意図がわからなかった」


千歳の言う通りだ


みんなの気持ちを代表して千歳がポツリポツリと話始める


「なんで紅愛が輝に過去を話さなかったのか。


何度も話したいと思った、でも


勝手に話していいような軽い内容でもねぇし


過去を話して紅愛が傷つく事があるなら


俺達は知らないふりをするしかなかった


それが例え紅愛を見つける近道を潰してでも」