【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~



その間にもパソコンを動かすのは來愛


ハッキングの腕前は一流。


それでも紅愛にはかなわないけどね


きっと來愛も動揺しているんだと思う


だってほら


カチャカチャ…カチャ


さっきからキーをよく間違えてるから


普段あまり打ち間違えはないのに


今日はこれで何回目だろう?


でもそれは、それほど紅愛が大切だということ


來愛は特に紅愛の事を尊敬していたし信頼していたから


紅愛を思う気持ちは誰一人として変わっていない


それはここにいる蒼桜幹部全員と


街を必死に探してるメンバーの顔を見ればわかる


本当に会いたくて、心配で。


とにかく無事でいて欲しいと思ってる


僕は皆の決意の固さに少しホッとして


心の緊張がほどけた気がした


「そろそろ行こうか」


僕は立ち上がって声をかける


集合までは30分あるけど


ここから輝の倉庫までは20分位だからね


皆がそれぞれのバイクの鍵をとって歩き出す


絶対見つける。


意思は、一つだった













ーー輝の倉庫、会議室


「集まってくれてありがとう


早く知りたいだろうから単刀直入に言うけど


…紅愛ちゃんの居場所がわかるかもしれないんだ


詳しくは僕たちも今から聞く。」


透真のその言葉に皆が息を飲むのがわかった


「それじゃあ…









奏矢さんお願いします」



奏矢さん?


そう思った瞬間扉が開く音がして視線を向ける


そこにいたのは


「………?」


少なくとも僕には面識の無い人。


20代前半位の年で顔は凄く整っている


だけどどこか風格が残っているようにも見えて


…族の人間?


そう思わせるような人だった


「この人は奏矢さん。


透真の前の副総長で今は紅愛とナギサの担任だ」


蓮の紹介に納得する


やっぱり族関係か


でもこの人と紅愛になんの関係が?


そう疑問に思った時


「それで…紅愛の何を知ってるんですか?」


丁度質問をした楓


いつもはヘラヘラしている楓には


珍しく敬語で、真面目な顔だった


「…アイツの過去の一部だ」


過去…?


この人、紅愛の過去を知っているの?


たとえ輝の元副総長だったとしても


なんで紅愛の過去を知れるんだ…?


疑問は増すばかりだった


でも


「最初からちゃんと話すから聞いてくれ」


全員を見渡して力強く言い放たれた言葉に


誰もが口を閉ざして耳を傾けた


「俺が紅愛と出会ったのは2年前…」



僕達は紅愛の過去を知っている


だけどそれはあくまで紅愛目線からの話


知られざる第三者の視線


僕はすぐさま話に聞き入った














「…それで俺はアイツが令嬢であり


親が違うことを知った


俺の知ってる話はここまでだ」


訪れたのは、静寂


誰もが口を閉ざして考えを巡らせていた


僕達は紅愛から直接聞いていたからある程度は知っていた


でも


何かが違う気がするんだ


紅愛の過去を聞くと感じる違和感


この正体はいったいなんなんだ…?



















……いや、違う



"何かが足りない"