…私は1週間ほどして目を覚ました
体の傷は全然治っていなくて酷く痛んだけど
問題はそこじゃない。
私はまた、記憶を無くしていた
だけど今度は本当に何も思い出せない程。
本当の親の事も、紅雅のことも、舞龍のことも
全て忘れていた
そして柊さんと仁さんの安否
2人は重傷だったけど命に別条は無かったらしい
勿論、当時の私は誰なのかわからずただ戸惑っていただけだけど
柊さんも怪我はほとんどなく
あのあと救急車を呼んでくれたのは
追いかけて来てくれた柊さんみたいだ。
…入院生活を何ヶ月かして退院したけど記憶は戻らないまま
何もわからないまま私は"普通"の生活に戻った
まるでずっとそこにいたみたいに。
ただ操り人形のように親の言いなりになって
中学を飛び級で卒業した
義務教育がなんだかんだって学校と揉めたらしいけど
この世界は権力が全て。
西条の名を使って黙らせた
そしてやる事も無くなった私は
また、何かに惹かれるように夜の街に足を踏み入れたーーー
「そこのお前」
転機が起きたのはそれから少したった頃のこと
屋根の上で寝転んでいた私に誰かが声をかけた
「なんですか?」
この人…気配が全くしなかった
要注意人物で間違えない
私はその事がバレないようにわざと警戒心を緩くして見せた
「俺はこういうもんだ」
そして男に渡された名刺に
愕然とする
"裏組織夜影-night shadow-"
裏、組織…
しかも夜影って
裏№1の…?
「巷で噂の奴はお前の事だろ?
俺達はその実力を認めてお前をスカウトする」
「え…」
それってつまり私が殺し屋になる、と?
戸惑いが隠せない
「夜影ってもここはでかいから色々ある
殺し屋の部門に人さらいの部門、人身売買部門
技術開発部門、ハッキング部門………ってな
俺ら的にお前の実力を見越して殺し屋部門か人さらい部門を推薦する
勿論頭脳的には技術開発部門やハッキング部門だってかなり力になるけどな」
待って
全然話についていけない
私が裏の世界に入る?
そんなの全然考えた事も無かった
「まぁ、焦らなくてもいい
…けど裏組織に声を掛けられて断れるとは思うな」

