体が重力で落ちるのを感じる前
「紅愛!!!」
「くーちゃん!!!」
そんな声が聞こえて
ぐぃっ!と後ろに引っ張られる
その声の主、それは間違えることなんてないあの人達
私達はまた崖の上に崩れ落ちた
…ねぇ仁さんと玲さん
最後に聞いたのはあんな冷たい眼差しと声だったのに。
…今更、なんなのよ
消えてと頼んだのはそっちでしょ?
訪れたのは静寂だった
…こんな事をしてても拉致があかない
「一体なんなんですか」
私が話をふった
何その辛そうな顔
意味わかんない
「僕達、その…
ごめん…」
「何がですか」
今度は私が冷たい視線を向ける
2人は顔を歪めて縋るようにこっちを見ている
「自分の感情に流されてお前を傷つけた」
あぁ、なんだ、そんなこと
「もうそんなのいいですから早く何処かへ行ってください」
私の邪魔をしないで
「それは…できない
俺達が悪かったのは認める
もちろん反省だってしてる、だから!
自殺なんてやめてくれっ…!!!」
ザザザー
バッシャン!!
ブォォォオ
波が蠢く音
波が岩にぶつかり砕ける音
吹き荒れる暴風の音
再び訪れた沈黙に自然の音は
やけに大きく聞こえた
「別に二人のせいってわけじゃないので」
これは本当の事
「だからほっといてください」
私の事はもう忘れて
なのに
「くーちゃんは僕たちの仲間だ!
ほっとくなんてできないよ!!!」
ガシッ
悲痛な叫びと共に腕を掴まれる
やめて、やめてよ
これ以上はやめて
自分が惨めになるから
「…やめてっ!!」
私は気づいたらその腕を振り払っていた
ここがどこかなんて
考える事もしないで
私が込めた力は意外にも強くて
玲さんはふらりとよろめく
そして仁さんにぶつかって…
ボロッ!!!
弱った地盤は二人の体重に耐えられず
崩れ落ちた
2人は目を見開き
スローモーションで視界から消えていく
そしてそれは本当に反射的だった
「やだっ…!」
私は二人を追いかけて駆け出した
そして体は宙に浮く
二人に追いつこうと必死でもがいた
幸いだったのはそこは急な斜面なだけで垂直落下では無かった事
ほとんど目なんてあかなかったけど
二人の事を必死で見つけて
抱きしめた
少しでも傷が浅くなるように
でも私の体中はまるでガラスが刺さった様に痛くて
悲鳴をあげていた
それでも放しまいと強く強くだきしめる
2人は何か言っていたけど聞こえなかった
そして、
ガンッ!!!
頭に感じたとてつもない衝撃と痛みで
私は意識を失った

