【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~




トントン…


無機質な倉庫に私の足音だけが響く


やる事もなくなった私は行く場所を無くした


もちろん、帰る場所も


だけどこんな所に居れる訳もなく


とりあえず倉庫を出ることにした


「うわ」


そんな時めに飛び込んできたのは


私が倒した炎薇のメンバー達


人が何重にも折り重なっていて


…誰も動かない


だけど何も感じない


ただ私がやったという事実があるだけ。


しばらく止まっていた足を動かして外に出るためにその中を歩く


だけど半分くらい来たところで


ギギィィ…


薄暗かった倉庫に扉から一筋の光が差し込む


眩しさに目を細め光の方向を見た


「…柊さん」


そこにいた人物は柊さんだった















「え……くれ、あ…ちゃん…?」


これ以上になく綺麗な目を見開く柊さん


視線は私じゃなくて


私の後ろにあった


もちろん私の後ろには人の山


「これ…紅愛ちゃん…が…?」


信じられないという顔


だけど柊さんや紅雅は私の強さを知らない


「そうだよ。」


だから無表情でそう答える


今更だけど私と舞龍の皆はお互いの事をあまり知らない


それ位の関係だったんだ


「なんで…」


なんで?


そんなの


「あなた達が一番よくわかってるんじゃないですか?」


「……………っ……」


…何その顔


深く深く傷ついたような顔して


「紅愛ちゃん、こんなこと紅雅は「望んでないって?」


「そんな偽善者みたいな言い訳聞きたくない」


その言葉で柊さんの表情が歪む


だけどそんなのおかまいなしだ


「紅雅はまだ…まだ15なのに


やりたい事とか沢山あったはずなのに!


そうだよ、紅雅は優しいから何も言わない


だけど…悔しいよ…!


なんで?どうして紅雅が死ななければならないの?


どうせなら私が死ねば良かったのに!!」


心の声をはっきり口に出すことで


感情が爆発してしまう


もうそんな感情だってないはずなのに


でも



「…………っごめん」


そんな胸が悲鳴をあげるような切ない声と共に


視界が真っ暗になって温もりが全身に伝わる


「え…」


思わず声が漏れる


「ごめん…ごめんね…」


なんで柊さんが謝るの?


「僕達が無力だったから僕達が子供だったから


誰も…救えなかった


それに君をこんなに傷つけた


こんな事になって…本当にごめん…っ…」