周りを見渡せば私の他に立っている人なんて居なかった
人が折り重なって倒れて
血の海が広がっていた
…私が、やったんだ
でも今は感傷に浸っている暇は無い
ただ早く中川を見つけないと
その思いで階段を駆け上る
「…ここか」
№1の倉庫なだけあって階も多くてなかなか見つけられなかった
だけど見つけたからにはきっちりケリを付ける
"コンピューター室"と書かれた部屋の扉を開いた
「よぉ、待ってたぜ」
そこにいたのは十数台のパソコンに囲まれた中川だった
そしてそのパソコンは全部電源がついていて
この数を一人で操作していたのだと知る
「でもここまでやるなんて予想外だわ」
そんなこと、どうでもいいよ
中川が強いかなんてそんなの知らない
だけど
「なんで紅雅を殺したの」
これだけは知りたい
なんで紅雅は死ななきゃいけなかったの?
「アイツは頭がキレるからなぁ
あのまま生かせば炎薇ですら危うい
族の世界じゃそんなの当たり前だろ?」
そんな理由で人を殺めることができるの?
そんな理由で紅雅は殺されたの?
「ふざけないで…!」
馬鹿に、しないでよ
しょうがないなんて言葉で片付けないでよ
「本当の事を教えて」
私がそう言うと中川は諦めたように笑った
「まったく…だから頭のいいガキは嫌いだよ」
「だけどな本当の事もなんもない。
ただ単に西条紅雅が邪魔だっただけ
俺はな俺に楯突く奴が許せない
お前の兄貴は炎薇の裏に気づいた
消されるのを黙って待っていればいいものを
舞龍は戦うことを選んだ
…ほんと虫酸が走る」
なに、それ
そんな簡単に?
それって単なる中川の独りよがりじゃない
紅雅の命はそんな事で奪われなゃいけなかったの?
許せない
許さない
私は怒りに
憎しみに
震えた
「許さない…!」
もう何も見えなかった
「……てめぇっ……ガン!!!」
自分の感情に身を任せ中川を殴り飛ばした
「くそっ……やめ…ろ………」
反撃しようとするもその前にその手足は地面に叩きつけられる
もう自分が自分じゃなかった
何かが乗り移って私を支配してる
そんな感覚
でも自分を見下していた奴が
紅雅を甘く見ていた奴が
血だらけになって這いつくばる姿は
快感だった
最初は抵抗していた中川もしばらくすると抵抗しなくなり
次第に動かなくなった
「はぁ…はぁ…つまんな…」
力なく横たわる中川を見下ろす
こんな弱い奴に自分をかき乱されたなんて
なんだか笑っちゃうよ。
興味もなくなってそこにある"もの"を蹴り飛ばした
それは凄い音を立てて壁にぶつかりそれからピクリとも動かない

