【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~






しばらく歩いていると


「聞いたことある声…?」


1つだけドアの隙間から灯りが洩れている部屋があって


そこからは何やら聞いたことのある声が聞こえた


私は興味本位でその扉を開けた







「「「紅愛……っ!」」」


「仁さん…?柊さん…?玲さん…?」


そこには目を丸くしたをした舞龍の幹部の人達がいた


そして皆の目は少し赤く腫れていた


その姿に私も目を見開く


でも次の瞬間


「くーちゃんっ…辛かったね…」


ぎゅっと暖かい温もりに包まれた


私をくーちゃんと呼ぶのは一人だけだから


それが玲さんだとわかる


でも…


「玲さん、なにが辛いの?」


「え…?」


すると玲さんは信じられない、そんな顔をして私から離れた


「紅愛、何言ってんだよ?」


みんなが何を言っているのかわからない


「どういうこと?


それにさっきから気になってたんだけど


紅雅はどこにいるの?」


紅雅がどこにもいない。


早く、会いたいのに…


「お前…」


その瞬間2人の目つきが変わった


「紅愛てめぇ、こんな時にふざけてんのかよ!?」


いきなりの仁さんの怒号に驚く


何をそんなに怒っているの…?


私はその意味がわからなくてただ戸惑った


「わかんねーなら教えてやるよ」


仁さんはそう吐き捨てると


部屋の中に入って行った


「ほら。くーちゃんも行きなよ」


玲さんの瞳も冷たい


まるで私の何かを軽蔑してるように


だけどただ一人


柊さんだけは俯いたまま何も話さなかった


「早く」


だけど玲さんに後ろから押された事によって


表情を見る事もできなかったんだけど。










奥の部屋はひどく寒かった


季節じゃなくてわざと冷たくしている寒さ。


そして何もない部屋に1つだけ


白い布がかぶさっているものがあった


そこの横に仁さんはいて


その布をみながら悲しそうな悔しそうな


今にも崩れそうな表情をしていた


「仁」


だけど玲さんが仁さんに呼びかけた事で


仁さんははっとしたようにこっちを見ると


また私に鋭く憎むような視線をつきつけた


そして


仁さんはゆっくり目を伏せて四角い白い布をとった…


「これが君がした事だよ」


その言葉に後押しされて私は"それ"に近づく



そしてそれを見た瞬間私は


「あ…………………っ…………」


言葉を失った



「紅雅…っ!」


なんで


なんでそんなところに寝ているの?


「やだっ…ねぇ、起きてよ…!」


どうしてこんなに冷たいの?



私は紅雅の冷たくなった体にすがった


「何が、なんでだよ…」


そしてその時後ろで聞こえた小さな声に


私は気づかなかった


「なにがなんでだよ!!!!なぁ!!」


いきなりぎゅっと息が苦しくなった


だけどすぐに仁さんが私の胸倉を掴んでいることに気づいた


「お前が…っ…











お前が殺したんだろ!!この人殺し!


お前が死ねば良かったんだよ!!!」



ドクンドクン…


私が殺した?


私が…紅雅を



殺した?


…あぁ。


その時忘れかけていた記憶が再び蘇る


私は紅雅も東も殺した


そうだよ私は人殺し



なのに自分の精神が壊れたらそれを立て直すため記憶を消そうとする。


犯した罪さえ忘れようとする最低な人殺し


「もう俺達の前から…消えてくれ…」


声を震わせ呟く仁さんを私は無表情で見ていた


「わかりました。」


自分でも本当に表情がない声だと思った


胸倉を掴むその手を振り払って身なりを整える


「それじゃあ永遠にお別れです。サヨウナラ」


最後に見た皆の顔は悲しみと困惑の混じった顔だった


そして、もう青白くなってしまった紅雅の顔をもう一度見て


私は部屋を後にした


その時柊さんは私を引き留めたけどその手すら振り払った