なにがなんだかわからなかった
どんな英才教育だってちゃんと受けるから
ずっと一番取り続けるから
もうワガママなんて言わないから
だから
駄からどうお願い、紅雅を
たった一人の家族を奪わないで…
「ちゃ…んと見てる…から…
幸せ………に…な…れよ……
紅愛……
愛…してるよ…」
最後にふわりと笑った紅雅は
そのまま目をつぶると
私が握ってたいた手がダラリと力なく落ちた
「嘘だ…」
こんなの悪い夢だ
きっと石が幻覚を見せてるんだ
そうでしょ?
きっと目覚めたら紅雅はまた笑ってくれるよね?
そう…だよね…?
ねぇそれなら早く覚めてよ
こんな夢、私は見たくない
だから早く
「起きてよ…ねぇ…」
体を揺するけど全く目を開けない紅雅
悪い冗談はよしてよ
今なら怒らないからさ
だから早く目を開けて
だけど
ぼーっとした頭は
「…………………っ!!!」
ふと触れた紅雅の腕に触れたことによって引き戻された
まさか
信じたくなくてもう一度触れたその腕は
凄く冷たかった
深く深く引きずり込まれそうな底の無い冷たさ
…紅雅は死んじゃったの?
その思考が頭をよぎった時
私の体の力はどんどん抜けていって
床にペタんと座り込んだ
なんでどうして?
私が死ぬはずだったのに
両手を目の前に持ってきて掌をグーパーする
なんで動くの
なんで温かいの
「あ……………あぁ…………」
それは私が生きてるから
生きてしまってるから
「いやぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
力の限り叫んだ
「なんで…なんでぇ!!!!」
頭を抱えるけどこの感覚は消えない
なにがが無くなったような喪失感
そしてえぐられたように痛い胸
そんな痛みから抜け出したくて
紅雅がいない世界でなんて生きたくなくて
狂ったように自分の手首を握った
「私が…死ねば良かったのにっ…
なんで生きてるの…!!!!」
もうわからなかった
「お、い…死んじまったのかよ…?」
そんな時後ろから声が聞こえた
聞いた事ある声だったけど振り返る元気さえなかった私は
「違う…紅雅は生きてる
死んでなんかない」
苦し紛れにそう呟いた
「嘘…だろ…」
後ろにいた人物…東は紅雅の横に座り込み
なにやら首や手首に手をあてていた
そんな様子を私は呆然と眺めていた
「俺が殺したんだな」
違う私が殺した
そう言いたいのに。
だけど言えなくて長い沈黙が訪れる
「紅愛って言ったか…?
兄貴奪っちまってごめんな」
だけど深い沈黙を破ったのは東
「え…?」
東、何してるの?
どうして
自分の頭に拳銃を突き付けているの?
「俺なんかの命じゃ代わりになんねぇけどな」
最後に見た東の笑顔が今でも鮮明に頭に焼き付いて離れない
悲しそうで儚い、そんな苦痛に歪んだ笑顔だった
パーン!!!!!
3度目の銃声が間近で聞こえた
その瞬間
目の前から勢い良く赤いものが飛び散って
東は地面に倒れた
目の前に起きてる事がすぐに信じられ無かった
だけどすぐ
「いやぁぁ!!東ぁぁぁぁあ!!!!!」
私の叫び声が響き渡った
青白い顔、血だらけで倒れている紅雅と東
そんな光景は精神的にも肉体的にも想像を越すダメージを与え
目の前で2人の死を目の当たりにした14歳の私には耐えられない。
完全に精神が壊れてしまっていた

