【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~


「ハハッ…


そう、だよな…何やってんだよ俺」


東は下を向いて自嘲的に微笑んだ


傷ついた顔で笑うその姿に胸が痛む


「でもな




もう遅いんだよ。


弟はちゃんと良い人に引き取られた


父さんも弟の事で色々あったが幸せにやれるはず


もう俺には居場所がないんだよ


こんな人殺しの俺なんか居ちゃいけない」


なんで…?


どうしてそんなこというの?


家族のために今まで頑張ったのに…


「待てよ、お前その言い方じゃまるで


家族に忘れられてるみたいじゃねえか」


ずっと黙っていた紅雅が口を開く


「父さんとは縁を切ってる


弟は…7歳も離れてんだ、覚えてねえよ」


縁を切っていても、忘れられていても


家族のために人生を投げ打つなんて。


炎薇はどれだけ人を傷つけたら気が済むだろう


「東…」


「もういいだろ…?


約束は約束だ。守ってもらうぞ」


ゾクッ


東の目つきが変わった


そしてゆっくり私に銃口が向けられる


覚悟はしてた、でも怖くないわけない


足がガクガク震えて動悸がする


「ふざけんじゃねぇ!殺すなら俺を殺せよ!!」



ごめんね


「紅雅、最後に一つだけいい?」


「紅愛…。最後ってなんだよ、なあ!」


「私っ……紅雅と家族で良かった。本当に


今まで…ありがとう」


声を聞けるのも


思った事を伝えられるのも


これが最後だって思ったら


涙が止まらない


そして紅雅もまた


「ふっざけんなよ…


もう紅愛しかいねぇのに…!」


頬に流れる沢山の涙を拭うこともせず


ただ私を見て苦しそうに顔を歪ませていた





そして


東はゆっくり私に近づき


カチャッ


銃をこめかみに当てた


あの時…ママとパパがいなくなったあの日のように





「これでみんな自由になれんだよ






ごめんな」




私は覚悟を決めて目をつぶった


あの時はただ助けを求めて震えるだけだった


だけど今は人を守れるくらい


ほんの少しだけど強くなった


それは紅雅や舞龍の皆のおかげなんだ


…ありがとう










バーーーン!!!!!!


全ての終わりを告げる銃声は木霊して


小さくなりながら何度も何度も響き渡った









「なん、で………?」



だけど私には一瞬も痛みを感じなかった


ゆっくり目を開くと


ほんの何秒前と変わらない東の顔があって。


私、なんで生きてるの?


「なんて、な…ははっ


やっぱ無理だわ…」


そしてその場に座り込む東


「東…」


ふと後ろを振り返ると


崩れかけていたブロック塀に小さな穴があいている


まさか


東はわざと当たらないように撃ったってこと?


でもどうして