「紅愛ちゃん…が…?」


結成1年程で頂点に上り詰めた最強の族


謎に包まれていたその総長が紅愛?


「証拠は…あるのかよ」


さっきまで強気だった蓮でさえ戸惑いを隠せない


すると蒼桜は財布から一枚の写真を取り出した


「「「…………っ!」」」


海をバックに並ぶ5人


幹部四人はそれぞれの特攻服を着ていて


もう一人は…


紅愛だ


"初代蒼桜総長"


そう書かれた特攻服を肩にかけて笑っていた


幹部達は嘘をついているように見えない


それに、この写真まで


疑う余地はもう無かった


「やっぱりアイツはスパイだったってことか?」


呟くように聞こえたナギサの声は


誰もが思っていたことだった


しかし


「それは違う!」


蒼桜は声を荒らげてそれを否定する


「紅愛は本当に記憶が無くなってた


勿論、自分が蒼桜の総長だってことも


だから先に会った輝の仲間になったんだ


紅愛は悪くない」


その声は悔しさを隠せないほど震えていて


アイツに対する思いの強さが現れていた


本当にアイツを信用してる


…俺達とは大違いだな


俺は自嘲的に笑った


「翔…?」


いきなり口角を上げた俺に全員の目が向けられる


「俺達の負けだ


協力する」


なんていうのはただの理由に過ぎなくて


本当はアイツが純粋に俺達といたいと願ってくれた事が嬉しかっただけ


一筋の光が見えたような気がした


「翔も素直じゃないね」


透真の言葉に全員が笑って


「んじゃ、まずは会議だよね〜」


と、何処からともなく地図を出した泉に


みんなが寄った



…待ってろ紅愛


絶対見つけてやるからな


例え抱えているものが


世界を欺くようなことだったとしても


俺が全部受け止めるから




いつもより騒がしい幹部室。


また日が沈もうとしていた


今日もまた今日が終わる
~翔聖side end~