昼休み
人気の無い階段で
「西条さぁ~ん」
ぞっとするような猫なで声で話かけてきたのは
「……河西さん」
河西さんだった
倉庫で何回か会ったけど話したのはこれで初めて
正直あんまり関わりたくない
それは翔の彼女ってことに嫉妬してるからかもしれないけど
そんな気持ちとは裏腹に河西さんは
不気味な笑みを浮かべて近づいてくる
「あのねぇ~?栞、翔ちゃんの彼女でしょお?」
「そう、だね」
わざわざそれを言いに来たの?
「だから先輩にぃ目つけられちゃってえ…」
「大変だね」
本当はそんな事で悩めることが羨ましい
自業自得でしょ、って言ってやりたいけど
私にそんな度胸はない
「でもぉ…翔ちゃんにぃ~心配かけたくないからぁ」
「西条さん、なんとかしてくれなぁい?」
…はい?
「え…なんで?」
戸惑う私に河西さんはニヤリと笑う
「だってぇ大事な仲間の彼女だよぉー?
守ってくれるよねぇ?」
こんな時に仲間なんてほんとずるい
「それにぃ~…
やってくれないとぉ~
今度はほんとに誰かいなくなるよぉ?」
その時ゾクッとした
正直、河西さんが怖い
誰か居なくなる、それは紛れもなくミウのこと
でもなんで私が知ってる事を知ってるんだろうか
「わかった」
だから下手に何もしない方がいいと思う
先輩には軽く言えばいいし
そう軽く考えてた
…でもこの時の私は何にもわかってなかった

