「今日はこれくらいにしておこうか。第2弾は明日にしよう」
「え!まだやるの!?」
「当たり前。この作戦の最終目的はただひとつ」
「そ、それは?」
未だにその作戦の効果なんて知ったこっちゃないけども。
言葉を溜める山城くんにうっかり釣られて、次の言葉を待つ。
「呉羽ちゃん。西山くんの笑顔が見れただけで満足しちゃだめだよ」
「……と、言うと?」
「西山くんの怒った顔も、見てみたくない?」
「え!」
言われて、暫しの時間考え込む。
確かに西山くんのいろんな顔が見たいと思ったのは私だけれど、それはあくまでもプラス方面の意味で。
怒りとか、寂しさとかマイナスを示すような顔はどちらかといえばあまり見たくはない。
と。
考えていることが山城くんに伝わったのか、ちょっと苦笑いを零す。
「ちがうちがう。俺が言ったのはそっちの意味の怒るじゃなくて」
「え。違うの?」
「そう。なんていうかさ……嫉妬して怒るみたいな?」
「嫉妬?」
「そう」
言葉自体は聞いたことがある。
少女漫画の2冊に1冊は必ず入っているフレーズだ。
自分の好きな人が自分以外の異性と仲良くしているのを見て、もやもやした気持ちになるやつ。
そういえば、今はヤキモキ大作戦に短縮されちゃったけど。
元の名前は“西山くんにやきもちを焼かせちゃおう大作戦”だったよね確か。
「つまりは、やきもちして怒るって意味?」
「ご名答。さすが呉羽ちゃん理解力が高いね」
「え、ふへへ」
「まずはその笑い方を変えようね」
「き、気持ち悪いかな!?」
「まぁ、呉羽ちゃんらしいっちゃあらしいよ」
中途半端なフォローをされてもあまり嬉しくないよ山城くん。