「だいぶ覚えてきたんやない?」




休憩中、相生が汗を拭きながら話しかけてきた。




「これも相生のおかげやな」




「まあ、教える人が上手いもんねー」




「は?調子のんな。俺の呑み込みが早いんよ」




「はあ?私のおかげってさっき言ったやん?」




相生が頬を膨らます。
何だろう、弟の浩太が生まれた時、
父さんが"目を入れても痛くない"っていうのは
このことだろうか。




見ているだけで癒されるというか、
やっぱり可愛い、相生。




「そうやったねーごめんごめん」




「もう京介くんには教えてあげんー」




「ちょ、ちょっと待ってくださいよー」




完全にしりに敷かれている。
というか、この人には逆らえない気がした。
それは、ダンスを教えてもらってるからとか
関係なく、直感的に。