我が藤原家ではこれで三回目の引っ越し。




お父さんの仕事の都合という理由で。




「お父さんが昇格したから引っ越しするの」
なんてお母さんは喜んでいたけど。
ぼくはあんまり嬉しくない。




学校も転校しなきゃいけないから。




新しい学校で友達ができるか不安でしかたがなかった。




まあでも、逆にそれも楽しみだったし、何よりお父さんと別々に暮らすことに比べたら
どうってことないか。




そんなこと考えながら朝食を食べて、着替えて、ランドセルを背負って
お母さんの車に乗って学校へ行く。




「いい?ちゃんと挨拶しんさいよ?」




「はいはーい」




「”はい”は、一回!」




「はあーーーい」




「伸ばすな!」




三回目の転校だから、そんなことはもうわかってる。




いちいちうるさいな。もう。




そうこうしているうちに、学校に到着。




ここが、今日からぼくが通う学校、
香林(こうりん)小学校だ。




・・・




うん。
校舎は古い。