高柳は裏庭のプールの階段のところに座っていた。




西田に告白された場所。
ちょうどその場所に。




「お前、先生が怒ってたぞ」




高柳は座って運動場の方を眺めたまま、何も言わなかった。




俺は高柳の隣に座った。
上履きのまま来てしまっていた。




「ありがとうな。俺のために怒ってくれて」




高柳は何も言わない。




「でも、あいつらの言っとったことほんとやし、俺が悪いんもほんとよ」




何も言わない。




「やけん、もう気にしとらんし、お前も気にせんでええけん」




俺は立ち上がり、教室へと歩き出す。




背中の方でセミの声に混じってすすり泣く声が
確かに聞こえた。