もらったかぼちゃには正論しか言えなくなるエキスが入っていたのかもな。僕は口調のうえではなんの迷いもなかった。
「そんなこと……」
 言いかけたカンちゃんの言葉を、僕はさえぎった。
「明和代にしとけよ。僕に遠慮はいらない」
 空き缶を捨てて戻る。カンちゃんはサドルを握り、家のほうに移動をはじめた。
「妙なこと口走っちまった。ガラじゃねえよなあ、全く」
「しかたないさ」
「あーあ。早く受験が終わんねーかな」
 僕はそれ以上を考えないことにした。カンちゃんは自転車を車庫にしまっている。
 適当に挨拶をして、自転車を走らせた。
 家に着くと同時に着メロが鳴った。メールだ。
「なんてタイミング。僕を見ていたのか?」 
 ひとりごとを言ってから、ポケットから携帯を出した。

『さっきのは ただの確認だから』

 カンちゃんからだった。確認の確認か? 几帳面なヤツ。顔に似合わずマメなんだよな。
 僕もマネた。純朴な美少年(爆)からの、顔に似合わないメッセージ。

『OH YEAR !』

 そしたら速攻で返事がきた。

『スペルちがう』
 
 ほっとけ。