◇ ◇ ◇
高校では三人の女の子とつきあった。
同学年だったりひとつ上だったりしたけれど、みんな僕と倉井先生のことを知らない、別の中学から来た子だった。
そのうちのひとりは、以前僕が声をかけたことのある女の子らしかった。
「ね、憶えてる? 入試のとき、春都くんに試験の出来を聞かれたの」
「憶えてないけどナンパには成功したみたいだね」
あははと彼女は笑い、じゃあつきあっちゃおうよと言った。
僕はそうしようと頷くだけでよかった。
他の子とつきあうときもそんな調子で、僕の片想い期間はゼロ。
来るもの拒まず去る者追わず。
別れ際になって、なにを考えていたのかわからなかったと言われたこともあった。
わからないから惹かれたんじゃなかったの?
もっと知りたいからそばにいたんじゃないの?
思いをぶつける気すら涌かなかった。
もしもこの世からすべての不可解が消えたら、僕だったらなにに対しても興味を持てなくなってしまう。
絵筆は持てなくなる。
高校では三人の女の子とつきあった。
同学年だったりひとつ上だったりしたけれど、みんな僕と倉井先生のことを知らない、別の中学から来た子だった。
そのうちのひとりは、以前僕が声をかけたことのある女の子らしかった。
「ね、憶えてる? 入試のとき、春都くんに試験の出来を聞かれたの」
「憶えてないけどナンパには成功したみたいだね」
あははと彼女は笑い、じゃあつきあっちゃおうよと言った。
僕はそうしようと頷くだけでよかった。
他の子とつきあうときもそんな調子で、僕の片想い期間はゼロ。
来るもの拒まず去る者追わず。
別れ際になって、なにを考えていたのかわからなかったと言われたこともあった。
わからないから惹かれたんじゃなかったの?
もっと知りたいからそばにいたんじゃないの?
思いをぶつける気すら涌かなかった。
もしもこの世からすべての不可解が消えたら、僕だったらなにに対しても興味を持てなくなってしまう。
絵筆は持てなくなる。


