◇ ◇ ◇
委員長から電話があったのは、八月のある豪雨の朝のことだった。
『倉井先生、無事出産。名前は……』
中学にも連絡網があったんだな、と今更ながらにぼんやり思った。
それに、雨音で聞き取りにくかったけれど、出産と言わなかったか。
聞きなれない単語だった。
僕が耳から入る情報を処理しきれていないというのに、相手はなにやら喋り続けている。
『よかったな、ソウヤマ』
「うん」
適当に相手をしているうちに電話は切れた。
"名前ははるとだって"
委員長から電話があったのは、八月のある豪雨の朝のことだった。
『倉井先生、無事出産。名前は……』
中学にも連絡網があったんだな、と今更ながらにぼんやり思った。
それに、雨音で聞き取りにくかったけれど、出産と言わなかったか。
聞きなれない単語だった。
僕が耳から入る情報を処理しきれていないというのに、相手はなにやら喋り続けている。
『よかったな、ソウヤマ』
「うん」
適当に相手をしているうちに電話は切れた。
"名前ははるとだって"


