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レギュラー争奪戦当日。


私はいつもより1時間も早く到着した。


……はずなんだけど、既にレギュラー争奪戦に出場する部員がコートで練習を始めていた。


「唯那も今から練習か?」


声がする方に振り向くと友倉尚輝がラケットで肩にトントンと叩きながらコートに入ってきた。


「うん。友倉尚輝も今から練習?」


「あぁ。早く目が覚めたからな。
………ってか、いい加減俺のことをフルネームで呼ぶの止めろ。」


彼は私がフルネームで呼ぶことをあまり良く思ってないらしい。


「え、何で?」


「何でって、フルネームで呼ぶっておかしいだろうが。」


「そうかなぁ?
私はフルネームで呼ぶ方がしっくりくるんだけど。」