昔のことを思い出す西園寺の顔はとても柔らかい表情だった。
「俺は、他の家族とは違う形だったけど、ちゃんと愛情をもらってたんだなって思い出した。」
親からの愛情というのは、それぞれの家庭で違うものだと思う。
でも、それが本人に届いてれば形なんて気にする必要はないんだよね。
「それを気付かせてくれたのは唯那だ。
俺はまだ親孝行が出来る。
だから、唯那が後悔してる分も含めて俺が親孝行してぇ。
それが俺の夢の一つだ。」
それを聞いた瞬間、私の目は嬉し涙で溢れていた。
「………西園寺。」
まさか、西園寺がそんなことを考えていてくれてたなんて思いもしなかったから。

