私は人混みをかき分けてコートの前に立つ。
すると、ラケットを鞄に直し終えた転校生はその場を立ち去ろうとコートに背を向けていた。
「待って!」
私は大きな声で彼を呼び止めた。
すると、立ち止まり振り返る。
「お前は隣の席の…………
テニス部のマネージャーだったのかよ。」
彼はすぐに私が見覚えのある人物だと気付いたけど、ここは男子しか居ないテニス部だからジャージを着ている私をマネージャーと勘違いしてるみたいだった。
でも、今はそんなことどうでもいい。
イライラしている私にとってそんなことはどうでもよかった。
「あなたが自分のことをどう思おうと勝手だけど、テニス部をバカにされる筋合いはない!」
私はテニス部の皆をクズ呼ばわりする彼がどうしても許せなかった。

