友倉尚輝は俊輔くんの目をじっと睨んでいる。
「悪いが、俺にはお前と試合する理由がない。
部活の邪魔だ。早く帰れ。」
俊輔くんも怯むことなく彼を睨み返し、一言言うとそのままコートに入っていく。
けど、友倉尚輝はその場から動こうとはしなかった。
「逃げるのかよ。
後輩を負かした俺とやるのが怖いのか?」
彼のその言葉に俊輔くんは立ち止まる。
「あぁ?」
「部長が転校生に負けることになれば恥だもんな。
だから俺とやるのが怖いんだろ?」
「怖くねぇ。時間の無駄なだけだ。」
「時間は取らせない。
どうせ俺がすぐに勝つんだからな。」
友倉尚輝は菊池くんを怒らせる為にわざとあんなことを言ってる。
「お前、人を馬鹿にするのもいい加減にしろ。
いいだろう、お前なんかすぐに蹴散らせてやる。」
挑発に乗った俊輔くんは鞄からラケットを取り出し、友倉尚輝が居るコートと反対のコートに入る。

