「実はな、一昨日の夜に親父の秘書から電話があったんだ。
親父が会社で倒れたってな。」


その言葉に再び驚かされる。


「………え?倒れたって………
だったら今すぐお父さんの所に行ってあげないと……」


今すぐにでもアメリカに行かなきゃいけないんじゃないの?


「それが、親父曰く軽い過労で倒れただけだからわざわざ学校を休んでまで来る必要はないらしい。」


「そうだったんだ………よかった。」


それを聞いてホッと胸を撫で下ろす。


「確かに今回は軽い過労で無事だった。
でも、この先過労じゃ済まないかもしれない。
だからすぐにでも留学して親父の仕事を手伝いながら勉強したいと思ったんだ。」


昨日から様子がおかしいと思っていたけど、まさかそんなことがあったなんて思いもしなかった。


「留学自体は親父が決めたことだけど、留学を早めたのは親父じゃない。俺自身だ。」


そう告げる西園寺の顔は今までとは違って何か覚悟を決めたような顔だった。


これが、後継者としての顔なんだ………