私も、まさか弁護士を目指すことになるとは思ってもみなかった。
「昨日初めてお母さんからお父さんの裁判の話を聞いたの。」
それを聞くと裕美は何かを思い出したようにハッとする。
「お母さん……そっか、唯那のお母さんって現役の弁護士だったね。」
私はその言葉に軽く頷いた。
「それでね、お父さんが亡くなってからお母さんが弁護士として裁判で闘ってくれて、私の知らない所で一番辛い思いをしてきたのはお母さんを知ったの。
だから、私が弁護士になったら少しでもお母さんの荷を降ろせるんじゃないかって。」
私がお母さんに出来ることといえばお母さんの思いを引き継ぐことしか出来ない。

