久しぶりに一人で帰ろうとすると、ふいに校舎の影に引っ張られた。
「いったっ……」
壁に乱暴に押し付けられると、髪の毛を思いっきり引っ張られた。
「痛いのは悠輝様の方なんだけど。何様だよ、お前。彼女だからって傷つけていいわけじゃないんだよ。」
あ、そっか。悠輝のファンの人達か……。悠輝は確かに顔も良くて、スポーツもできて、私が付き合ってるときにも、何回か襲われたりしたな。
そんなことを思っていると、水をかけられた。暑くなってきたとはいっても、まだ六月。その水は冷たく、心まで冷やしていくようだった。
「お前が悠輝様を悲しくさせるからそうなるんだよ。やっぱお前は悠輝様とはつりあわないんだよ。早く別れろ。」
そう言い残し、悠輝のファンの人達は去っていく。
