「……っ」 私は来た道を走り、教室の自分の席へ座った。 こうしていれば、まだ悲しみが抑えられる気がした。 私は、悠輝が浮気していたことに悲しみを感じていたのではない。私の渡り廊下非常階段で、誰かがキスをしていた、ということに悲しみを感じていた。 その時点で、私は悠輝とはやっていけないことに気がついた。でも、そのことに気がついてしまってもショックなど受けなかった。 今はただ、空が汚れた、私の好きな景色が汚れた。それしか考えられなかった。 「やっぱ、私ってサイテー……。」