「机置いたからここ座れー。」

うわっ。
武永くんがこっちに向かって来る!来ないでー!
あ、来ちゃった。

「よろしく。」
「は、は、はい!よろしくお願いいたします。」

びっくりしすぎてキョドった上に丁寧すぎる言葉使っちゃったよ…。
恥ずかしすぎる!



なんとか昼ご飯までやり過ごした…けど。
居心地悪すぎるよ~。
屋上で食べよーっと。
私は走って屋上に行った。




屋上に着いた。
予想通り誰もいない~♪
私は屋上の古くなったベンチに座ってお弁当を食べはじめた。
ここはあんまり人が来ないから大好きな場所なんだ~。

「おい。」


なんか今聞こえた気が…
空耳?
まさかのおばけ!?
やだよぉぉぉ~。

「おい。」

また聞こえた…。
怖い。怖い((゚Д゚ll))

「おい!」
「キャー!」

私は走って屋上の端っこまで行った。

「叫ぶなよ。不審者みてーじゃんか!」

そこにいたのは…

「えっ!?武永くん!?」

武永くんだった。

「どうしたんですか?」
「あのクラス居心地悪いから屋上で寝てた。」
「そうだったんですか。」
「それ、昼飯?」

武永くんは私の弁当を指差す。

「はい。一応。」

私は一人暮らししてるからお弁当も自分で作っている。

「もーらいっ」

武永くんは私のお弁当からウインナーを手で摘んで食べた。
美味しいかな?まずかったらどうしよー!
大丈夫だったかな?

「うん。美味い!」

武永くんはグッドポーズをした。
ニカッと笑って。
その笑顔はすごくキラキラしていた。

「美味しかったか。よかった!」
「お前…」
「な、な、なんでしょうか。」

私なんかやらかしたかな?
なに言われるんだろう。
やっぱりブスとか?

「笑えるんだな。」
「え…?」

びっくりした。

「お前、今、今日初めて笑ったぞ。」

気付かなかった。
いつも誰にも見られることなく生きてたから。

「お前、名前は?」 
「新野未来です。」


「新野未来!俺の人形になれ。」



「えっ!?どういうことですか!?」

人形って。どーゆーことよ!?

「お前、自分のこと鏡で見たことあるか?」
「ありますけど…」
「あってそれか。そのおさげに長いスカート。イマドキそれはない。」

"イマドキ"って。私はイマドキになんかなれないよ。
センスないもん。

「ってことで。新野未来!お前は俺の人形になれ。」
「あの…人形になることとどういう関係が?」
「お前、鈍感だな。俺がお前を"イマドキ"にしてやるよ。」

そういう事か。
私、私にはイマドキなんて無理だと思ってた。
だから、この人に任せてみてもいいかもしれない。
任せてみようかな…。

「あ、あの!その話、お受けさせてください!あ、あの精一杯頑張りますので!」
「おう!任せろ!俺がお前をいい女にしてやるからな!ブスっていってくるやつ、見返してやれ!」
「は、はい!お願いします!」

私は、武永健の人形になることになった。
"イマドキ"女子になるために…。