入って来たのは…

男の人だった。

「ねぇ!イケメンじゃない!?」
「ほんとだ~!」

女子がざわついた。

「なら、自己紹介しろ。」

女子の注目が集まる。

「武永 健(タケナガタケル)。」

名前だけ言うというシンプルな自己紹介だった。

「武永だ。みんな仲良くしろよー。」
「「「はーい」」」
「席は…」

私は窓の外の桜をみる。
今がいちばん綺麗なのよね~。

「新野の隣いけ。」

新野さんよかったねー。

えっ!?新野!?
新野って…私!?

「今から武永の机と椅子取りに行ってくるから待っとけ。」

なんで私なのよ…。

女子からの嫉妬、妬みの目線が痛い。
これ以上目立ちたくないのに。
武永くんは先生を黒板の前で待っていた。


「武永くんは彼女とかいるのぉ~?」

さっきまで睨んでいた女子が猫なで声で言う。

「別に。」
「そっかぁ~。よかったぁ~♪」

ガラッ(扉を開ける音)

先生が帰ってきた。