――そう、確かに私は田所くんの方を『向いて』はいた。
けれど、見ていたのはあくまで左隣の成瀬くんだけだ。
もう一つ向こう側の席に座っている人……つまり田所くんを見つめていたわけでは決してない。
……っていうかこの人、まさかとは思うけど私の視線に気づいた上で盛大な勘違いをしてたの!?
なにそれ恥ずかしいッ!もし私がやってたら羞恥心で死ねるレベルだよそれ!!
しかもこの流れで行くと、この呼び出しって
「うわ、マジかよ……
自意識過剰な勘違いして好きになった上に、ソイツが見てたのは別の男とか……
俺どんだけカッコ悪ぃんだよ」
「…………」
やっぱり、告白でしたか。
たそがれる背中にどう声を掛けていいか分からず、私はその場に立ち尽くした。

