「……っていうか、なんでそんな勘違いをしちゃったんですか?」
気まずい沈黙が降りる中、先に口を開いたのは私の方だった。
その言葉を聞いた田所くんは、真っ赤に頬を染めながら気恥ずかしそうに口を開く。
「いっ、いつも俺のこと見てただろうが!授業中とか、そういう時!」
「へ?」
「違うとか言うなよ!?最初は気のせいかと思ったけど、俺は確かに何回も視線が合ったんだからな!」
そう言われて、少し考えた私は――あぁ、なるほどと一つ頷いた。
「確かに私は、何回も田所くんの方を『向いて』いましたね」
「そっ、そうでだろう!?」
「でも、私が『見て』いた相手は田所くんじゃありません。その一つ手前の成瀬くんです」
「……はぁ!?」
私の発言を聞いて、田所くんは驚いたように目を見開いた。

