次の日も窓を見るとシャボン玉がぷかぷかと浮かんでいた。


桜坂くんはいない。


というか今はほとんどの生徒がいない。


なんか先生の都合で自習になっちゃったから、多分みんなサボってるんだろうなぁ…


桜坂くんしかりだ。



チャイムが鳴ってお昼休みになった。


今日、真琴は学校を休んでいる。


理由、学校行くのが面倒くさい、らしい。


いいなぁ……あたしもそんな理由で休んでみたいよ。


母親が許さないけどね。



お昼ご飯を早々に食べ終わって、あたしは今日も屋上に向かった。



どうしてだろう……


自然と足が向いていた。


カンカンと長い階段を上り、微かに開いている扉を押す。



「わぁ…やっぱりすごい」



屋上に出ると、前と同じ、真っ青な空が広がっていた。


今日は白い雲もふわふわと浮かんでいる。


それと一緒にキラキラとシャボン玉も浮かんでいた。



シャボン玉?



隣を見ると昨日と同じように、どこか優雅に座っている桜坂くんがいた。



「物好きだな。今日も来るなんて」



くすり、と微かに笑って桜坂くんはあたしを見た。



「え、と……」



わ……桜坂くんの笑顔とかレアだ……初めて見た。


いつも見ている彼よりも幼く見えて、少しだけ胸が騒いだ。



「とりあえず座れば?」


「う、うん……お邪魔します?」



……自分で言っといてなんだけど、お邪魔しますってなんだ。


言葉、おかしい気がする。


桜坂くんは何もつっこまないけど…


な、なんか意識しちゃうなぁ。


ちょこん、と少し間をあけてあたしは腰を下ろした。


日陰になっているからか、コンクリートはひんやりしていて気持ちよかった。



「で、なんか用?」


「よ、用事?いや、特にはないんだけど……なんとなく、足が向いちゃって……」