後悔なんて、絶対しないんだから……!!


すぅっと息を吸う。



頑張れ、あたし…!!






「あたしは、桜坂くんが……桜坂 空くんが、好きっ!!」






そう伝えた一瞬、世界から音が消えたみたいだった。


でも、自覚した瞬間……



「あ……」



カアァ、と顔に熱が集まって熱くなる。


鏡なんて見るまでもない……あたしの顔、絶対真っ赤だ。



(多分)驚きで固まっている桜坂くんの横を通り抜けて、あたしは逃げるように屋上を飛び出した。












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「……というのがことの顛末です」


「アイもすごいわね。まさに、勢いで言いましたって感じ」


「おっしゃる通りで」



ただいま真琴の家で報告中……



あのあと屋上を飛び出したあたしは補習をサボり、真琴の家に押し掛けた。


だって、桜坂くんと会いたくなかった……


それに、顔赤いのみんなに見られたくなかったんだもん……


まぁ、真琴のおかげで表向きは体調が悪くなって先に帰ったことになってるけど。



真琴さん、まじ感謝です。



「でも、真琴に言われたから」


「?」


「後悔はするな、って……」



今思うと、あの言葉がなかったらあたし、桜坂くんにちゃんと好きって伝えられてなかったかも。



「ちゃんと伝えたから、後悔はしてないよ」


「アイ……」



真琴が少し驚いたようにあたしを見る。



「何回も言ってるかもだけど、ほんとにありがとね、真琴」



にこりと笑うと、真琴は笑い返してくれた。



フラれたら真琴の胸で泣かせてもらおう、と思いながらあたしはこの日一日を笑って過ごした。


じゃないと、余計なことを考えてしまいそうだったから……