「アイちゃーん、お客さんだよー」
「え?あたし?」
自己嫌悪の無限ループをさ迷っていると、クラスの子に名前を呼ばれた。
呼ばれた方を見ると、爽やかな笑顔を浮かべた男子がそこに立っていた。
うーん…見たことあるような、ないような……
誰だっけ?
と、思いながら一応そっちに向かう。
「宗田 藍巴ちゃん、だよね」
「そうですけど」
「ちょっと話せないかな」
「え、でも……」
あたしには桜坂くんと話すという使命が……
「時間は取らせないから、ね?」
「あ、ちょっ」
手首を捕まれて廊下に連れ出される。
あぁ……貴重な桜坂くんと話す機会がぁー!!
心の中でそう叫びながらも、あたしと男子は人気のない廊下に来ていた。
「ここなら大丈夫かな」
そう言ってその人はあたしの手を離した。
「ごめんね。人に聞かれるといろいろめんどくさそうだったから」
「はぁ……それで、何の用事ですか?」
じろ、と警戒心むき出しであたしはこの人を睨む。
けど、相手はそんなこと気にしないようににこりと笑った。
「単刀直入に聞くけど、空のことはどう思ってる?」
「へ……?」
そ、空って……桜坂くんのことだよね?
カアァ、と熱くなる頬。
「しょ、初対面の人にそんなこと言いません!!
それに、あなたには関係のないことじゃないですか!」
言いながら顔が赤くなるのを止められない自分にすごく腹が立つ。
桜坂くんも言ってたけど、あたしってばすぐに顔に表れすぎだよ!!
「あっはは、よかった。
その反応だと、藍巴ちゃんは空のことが好きみたいだ」
「うっ……」
ば、バレてる……
あれ?今よかったって言った?
……どういうこと?


