「桜坂くん……」



あたしは涙をぐいっと少し乱暴拭った。



泣いてちゃダメだ……


ちゃんと伝えなきゃ……桜坂くんが、あたしの為を思って離れてくれても、あたしは全然嬉しくないって。


桜坂くんの隣じゃないと本当の意味で笑えないって……


あたしは桜坂くんの隣にいたいって……



好きだって、伝えなきゃ……



「真琴、話聞いてくれて、噂のことも教えてくれて、いろいろありがとね!」



にこりと笑って真琴を見ると、真琴も綺麗な笑顔を浮かべた。



「お礼言われるようなことはしてないけど?
……でも、アイが元気になったのならよかったわ」


「真琴……」



もぉ〜〜〜〜!!!



「真琴ぉー!!大好きぃー!!」


「わっ、ちょ、アイ!!」



ガバッとあたしは真琴に抱きついて、二人でベッドに倒れこんだ。



真琴……大好きだよ。


大切な、あたしの友だち。



その日はいろいろな話をして、笑顔のまま真琴と一緒に眠りについた。












――――――――――――――――――
――――




ざわざわといつもより少しうるさい教室。


今日で夏休みの補習が最後だからなぁ……みんな嬉しそう。


なんて他人事のように考える。



今日が、最後のチャンスだ……絶対、絶対桜坂くんと話さないと。


ちらりと視線を向ければ、いつもと変わらない桜坂くんの後ろ姿。



………こ、告白というものはどういうタイミングでするのだろうか。


うぅ……意気込んだはいいけど、やっぱり緊張しちゃうよぉ。


で、でも今日は絶対に話さないと!!


この約一週間こんなことを思いながらも、行動に移せなかったあたし。



こんなに自分がヘタレだとは思わなかった……


うぅ……ヘタレすぎて泣けてくる。