うわぁ……この状況少し恥ずかしい。


そしてたいへん申し訳ない。


顔上げられないよ……



「あ、ありがとうございました……」


「いや、歩けるか?」


「うん」



桜坂くんに抱きしめられながら、というかすがりながら?もといたところに座らされる。



な、なんか……桜坂くんには迷惑をかけてばかりな気がする。


きゅっと桜坂くんのシャツを掴むと不思議そうに見られた。



「その、ごめんね……」


「何が?」



間髪入れずに……


言いにくいなぁ…



「迷惑、かけちゃって……」


「え、いや……」



見るからにしゅん、としたあたしを見て桜坂くんは困ったように頭を掻いた。



「気にしてないから、さ……」



顔上げろよ、と言う声におずおずと顔を上げる。


正面に座っている桜坂くんは日を浴びて、金髪がキラキラと輝いていた。


今まで金髪とか怖いイメージだったのに……



「綺麗……」


「ん?」


「な、なんでもない!」



あたし何言ってるんだろう。


ぶんぶんと頭を振っていると桜坂くんにまた倒れるぞ、と言われたので一応やめる。


また倒れるとか、さすがに迷惑すぎるし。



「…お前は少し休んでから教室にこい」


「え?」


「いいか。急に立ったりはするなよ。
また倒れたくなかったら」



少し休んでから、とかどのぐらい、とか、急に立つって、どのぐらいなら急じゃないんだろう、と思いながらもあたしはこくこくと首を振る。



「じゃあな」



桜坂くんはあたしの頭を一回撫でてから屋上を出ていった。


そのとき微かに笑っていたのは、多分気のせいじゃないような……



「やだ……なんか、熱い…」



きっとこれは、夏のせい。


夏の、暑さのせい……だよね?