歩きながら、さっきの真澄の言葉を思い出す。
「こんのボッサボサの髪!!メイクもなんもない上に美人でもなんでもない顔!平平凡凡普通より悪いスタイル!」
…結構ダメージ受けるなこれ。
否定はしない。
だってあたしは本当にそうだし。
中学生の頃まではまだちゃんとしてた。
2つ結びで髪質も気にして、ニキビとかにももっと気を遣って、普通の女子だった。
恋にも興味あった。好きな人もいた。
だけど中学3年の時、その好きな人に友達が勝手に想いを伝えてしまった時に言われた。
「わり。俺…、彼女いるから」
ショックだった。
それは、ただ彼女が居たからだけじゃない。
その彼女が美人で、スタイルがよくて、肌もきれいで、
あたしなんて何一つ敵わなかったからだ。
無駄なんだと思った。
どれだけ可愛くなろうと頑張っても、あたしはあんな風になれない。
「真弓には真弓のよさがある」と友達が言ってくれたけど、それでもあの人はあの子を選んだんだから意味なんてない。
あたしのよさなんて、あの子のよさと比べたらなんでもない。
そう思うと、どうでもよくなってきてしまった。
高校に入って、友達と離れた事をきっかけにあたしはもう全てを放り投げた。
髪も最低限の清潔さくらいしか気にしない。
顔も見て不快にならなければなんでもいい。
どんなに頑張っても可愛くなれないなら、可愛くなんてなくていい。
目の大きさも、鼻の高さも、何も自分じゃ変えられないんだから。
あたしが変わったのは、それだけじゃない。


