母はこんな事をよく言いだす。
たぶん気分はまだまだ女子高生。
明るく可愛いもんじゃなくて、少々ひねくれてる感じの。
…あたしじゃねぇか。
いやまぁそれは置いておこう。
「ちょっ、毎回思うけど母さん、急にそんな話やめろっての!」
お茶を飲んでいた真澄がごほっ、とむせた後、そんな風に言い返す。
「なぁに?ます、なんかあるのー?」
母はすかさずニヤニヤとしながらそんな事を言う。
「ねぇよふざけんな43歳!!」
「ちょっ、真澄!そんなっ、現実ぶつけちゃ…」
「ます、まさ、…あんたら今なんて………?」
いつからだっただろうか、母が誕生日のケーキに蝋燭を立てなくなったたのは。
まぁそもそもいい大人の誕生日、しかも家族の中の親ポジションの人の誕生日で蝋燭立てるか?と思うのが普通だろう。
しかし我らが真衣子母はお祭り事やパーティー系が大好物な人のため、自分の時も父の時もおっきいケーキを用意して、楽しそうに祝うのだ。
……しかし、3年くらい前からだろうか。
母の誕生日の時に、蝋燭が無くなったのだ。
まぁ、その理由は…言わなくても分かるだろう。
とにかく母にとって〝年齢〟は地雷だ。


