「はいっ、じゃぁまゆも来たしね、いただきますっ!」
母が元気よく手を合わせながらそう言う。
あたし達3人も続ける。
「いたっきまーす」
面倒くさそうに挨拶するのは真澄。
「いただきますっ!」
嬉しそうにそう言って、すぐさま食べ始めたのは真咲。
「いただきます」
何の特徴もなく、ただそう言ったのはもちろん、このあたしだ。
はぐっ、と目玉焼きを口にいれて、もぐもぐとする。
真咲はもう、半分は食べ終わっていた。
真咲の早食いは、父親譲りだ。
父は早食いであり、大食いなのだが、真咲は別に大食いではない。
「二人も大食いが居たら、想像するだけでゾッとする」と母はよくそう言って笑うもんだ。
「ねぇ?ちょっとあんたら」
母がトマトをちょんちょんとつつきながら、そう言う。
嫌いなら入れなければいいのに…と、常々思う。
「なんかないの?コイバナとか」
朝からなんて事を言い出すんだ、この母は。


