あたしの朝は朝ご飯から始まる。
いや、まぁ、正確に言えば歯磨き。
洗面所に行ってガショガショと可愛げもなく歯を磨いたら、ダイニングへ行く。
そこに行くと、父を除いた家族全員がもう座っているのがたびたびだ。
今日もそうだ。
「姉ちゃんおっせぇよ」
そう言ってあたしを睨むのは、妹の真澄《Masumi》。
「お姉ちゃん、おはよう!」
そう言ってあたしに微笑むのは、弟の真咲《Masaki》。
ものすごく男女逆転的な妹と弟は、あたしの一つ下の双子だ。
「ほら、まゆ。さっさと席付きなさい」
最後にそう言ってあたしのお皿に目玉焼きを乗せたのは、母の真衣子《Maiko》である。
ちなみに今いない父は真一郎《Shinichirou》。
…シンイチロウ、とローマ字で書くとものすごく長くなるのは気にしないでいただきたいと思う。
父は早く家を出るため、いつも朝食時にはもういない。
だから朝ご飯はいつも、この4人だ。


